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初めての・・・ -その7-

やつと会ってから一週間経った・・・。

はは・・・やっぱりもう来ないんだな・・・。
そう思うと胸の中心に矢が刺さったようなズキンと思い痛みがした。
最近は本を読む気が起きず、ただボーっと庭に居ることばかりだったがそろそろ家の中に戻ろうか・・・

ドアノブに手をかけようとしたその時、扉が勢いよく開き、私の顔面に直撃した。
「やっh・・・ごごごめん!大丈夫??」
「・・・・・・・・。」
痛い・・・。堪え切れず手で顔を覆う。
顔はもちろんだが、なぜか関係のない胸の奥の方も痛かった。
「ちょっと待っててジムジさんに言ってく・・・?」
扉の向こうに行こうとする奴の裾を思わずつかんでしまった。
「・・・だ、大丈夫だ。問題ない。」
自分のした行動に半ば驚きつつ、俺は立ち上がる。
「なぜ来た。」
「うぇっ!?ええっと・・・べ、勉強!教えてって言ったじゃん・・・。」
「そ・・・それは無理だと言っただろう。」
「そんなぁ~頼むよぉ~今度テストあんだよぉ~。」
「てすと?」
「学校で習った事をちゃんと覚えたかどうか試させるんだよ~頼むよ~。」
一度は断って、突き放したはずなのに・・・また、俺なんかに頼むなんて変な奴だ。
「わかった。」
「えっ!?教えてくれるん?」
俺はゆっくり頷いた。
「ありがとう!!じゃあ、さっそく・・・」
それから菌太郎は持ってきたカバンの中から筆記用具を出し、わからないことを聞いてきた。
人に教える事などしたことがない俺の不慣れで分かりにくいであろう説明を奴は真剣に聞いていた・・・。

「・・・わかった!!ここをこうすればいいんだな!!」
「そうだ。」
「っしゃあ!出来たぁあ!!」
初めてこんな大声を聞いた。少しびっくりした。
「これも全部君のおかげだよ!ありがとう!」
「・・・ない。」
「ん?なんて言った?」
「・・・君、じゃない。イルハムだ。」
「!! ありがとう!イルハム!!」
「・・・こっこの前は帰れなんて言って悪かった。反省してる。」
「あ~あれ?全然気にしてない、むしろ突然来て迷惑かけたの俺だし。こちらこそごめんなさい。」
俺の中ではかなり重い問題だったのだが・・・。
い、今なら・・・


「お・・・おれ、俺と友達になってくれないか?」


「えっ?もう俺ら友達じゃん?」
は・・・・?今何・・・て?

「あっ後、俺の事は「キンタ」って呼んでくれていいから!みんなにもそう呼ばれてるし!・・・おおい、大丈夫か?」
俺は膝から崩れ落ちていた・・・涙をこらえるので必死だ。
ともだち・・・できるとこんなにうれしいんだな・・・。
「菌太、お前は俺が・・・肌の色が気持ち悪いと思わないのか?」
「ああ、その肌の色ね。最初見たときはさ、病気なのかと思ってめっちゃ心配した。」
「しんぱい・・・。たったそれだけか?」
「うん。そだけど?」
「ありがとう。」
もう涙で前が見えない。一時期は完全に諦めていたはずだったのに・・・。無理だと思っていたのに・・・。
「そんな・・・お礼言われるようなことしてないしw ほら、もう泣き止めってw」
「ううっ。すまない。」
「じゃまっ、これからよろしくなイルハム!」
「よろしく。菌太郎。」
差し出された手を握り握手をした。

それ以来菌太郎は、度々家に来ては勉強を教わりに来たり、学校の事を話に来てくれるようになった。

田舎に来てよかった。(完)

初めての・・・ -その6-

落ち着かない・・・胸の中がざわざわ騒いで収まらない・・・・。
突然来て、突然「友達になろう」なんて・・・。
そんな奴これまで居なかった・・・。

悪意はなかったように見える。
よくしゃべるが不思議と嫌じゃない。
面白そうなやつだった。
同い年。
家は近い。
やつと居たら・・・何か変われるような気がした。

そんな奴を俺は突き放した。
つい・・・口から出てきてしまったんだ。
友達がまたできたかもしれないのに・・・。

その日からよく庭に出るようになった。本を読んでいるがなかなか集中できない。周りの音が変に気になってしまった。

菌太郎、もう来ることはないんだろうか・・・。

初めての・・・ -その5-

引っ越してきた別荘は田舎なだけあって人もほぼいないし空気もおいしい。
だから、こうしてゆっくり外で本が読める。ジムジが淹れてくれたアイスティーもおいしい。
そんな至福の時を過ごしていたというのに何やら別荘の扉の向こうが騒がしかった。
読書をやめ、扉の方をじっと見ていると・・・ジムジが現れた。

「坊ちゃま、あなたとともだ・・・」
「こんにちわ!初めまして!!」
「!?」
なななんと扉の方からひょこっと見知らぬ人が出てきたのだ!わけがわからない。私はその場で固まってしまった。

「俺、菌太郎っていうんだ!ここの近所に住んでるんだ!よろしく!」
「・・・・・・・・・・・。」
突然の事に唖然としている中、そいつは自己紹介を終えた。
「坊ちゃま、菌太郎様は坊ちゃまとお友達になりたくていらっしゃったそうです!!ぜひお話ししてみてくださいませ!!!私はお茶を持ってきますね!では!」
そう言ってジムジは別荘の中に消えていった。あんなに生き生きとしたジムジは久しぶりに見た・・・。

「向かい、座っていいか??」
「・・・・・・・・・。」
なんなんだ突然?いきなり目の前に見知らぬ奴が来て、友達になりたいって・・・。
・・・・・・・・・・・・・・?
とも・・・だち・・・?????
こいつは俺なんかと友達になりたいと思ってるのか?????
気持ち悪くないのか?不思議に思わないのか??この肌が?手が??顔の刺青が???
いいや、きっと最後は・・・。

そうこう思っているうちに奴は勝手に向かいの椅子に座った。
「急に来てごめん!前に来た時から君と話してみたくて・・・。」
前に来た時?なんのことだ?
「覚えてねぇかなぁ・・・遠くからこの庭覗いたら君がいて・・・あん時はほんと驚かせてごめん!!!」
あれはこいつだったのか・・・。
「俺ね、17歳!君と同い年なんだって!ジムジさんから聞いた!ここほんと人居ないから君が来てくれてほんとうれしいよ!!」
ジムジめ、余計な事を・・・。
それ以上にこいつからは昔学校で感じた「イヤな感じ」が感じられない。なんでなんだ・・・。

「なぁ、何の本読んでんだ?」
「・・・・・こ・・・ここの歴史書。」
「はっ!?めっちゃ難しい本読んでんじゃん!!頭良いの??」
「・・・・・本は・・・よく、読む・・・。」
「じゃ、じゃあ勉強は?」
「今はジムジに教えてもらっている。・・・が、そんな難しいとは思わない。」
なんだか勉強の話になった瞬間目が輝き始めた・・・。なんだ?
「なぁ、頼む!今度勉強教えてくれないか?俺、頭悪くてさぁ・・・。全然わかんないの。」
こいつは照れくさそうに笑ってそう言った。
「・・・無理だ。」
「ええっ!?なんで!!」
「・・・無理なものは無理、だ。・・・帰ってくれ。」
「え・・・あ、うん急にごめん。帰るわ・・・。」
帰れと言ったら、明らかに落ち込んだ表情になった・・・。そして扉の向こうに消えていった。
これでこいつとの関係も絶たれたか・・・。
「あれ?菌太郎様、もうお帰りで?」
「ジムジさん、今日はありがとうございました。俺、諦めませんから。」
「わかりました。お越しの際はこのジムジ、お手伝いしますね。」
「じゃ、また来ますね。」

初めての・・・ -その4-

次の休みの日、今度は一人で屋敷に行ってみた。すると人が一人、玄関前で掃除をしていた。
「こんにちは~俺、ここの近所に住んでる菌太郎って言います!」
「こんにちは。私はここの別荘で坊ちゃまのお世話をしています。ジムジと申します。」
「坊ちゃま?」
ここらでは聞きなれない単語に思わず聞き返してしまった。
「はい、昔から続く由緒ある一族のご子息なんです。」
「へぇぇ~その子すごいんですね!ちなみにその子のお年は・・・?」
「その前になぜあなたはここに?」
「ああ、ごめんなさい!」
食い入るようにそのおぼっちゃまの事を聞いてしまったせいで、怪しまれてしまった。
「ここに同い年くらいの子が引っ越して来たって聞いてて、気になってきて見に来たんです。ここら辺俺らくらいの年の子って全然いなくて・・・つい・・・。」
怒られる気がして最後の方がごもってしまった・・・けど。
「おお!やはりそうでしたか!!そうであれば私の方からいろいろお話しさせていただきます!」
怒るどころか、もの凄く目をキラキラさせ始めた。
「お坊ちゃまの名前はイルハムといいます。お年は今年で17歳でございますね。」
マジか!17歳!同い年だ!!やったね!!
「坊ちゃまはお屋敷の中に居てばかりだったので自然の多いこちらに引っ越して来たんです。」
「学校は?」
「それが・・・幼少期のころからほとんど行かれてないのです・・・。」
「なんか病気か何かなんスか?」
「えっとですねぇ・・・坊ちゃまが幼いころその、何というか、いじめられてしまいまして・・・それ以来あまり私共家の手伝い以外の人と関わらないようになってしまったんです。」
「そうだったんスか」
そうか、この前すぐ逃げてしまったのもそのせいだったのか、悪いことしちゃったな・・・。
「ですから、引っ越してきたのでぜひ、お友達を作って欲しいと私は思っているのです!!」
すごい気迫だ・・・。イルハムの事大切なんだな。
「それなら!俺なりますよ!イルハム君の友達!!」
「なんと!!ホントでございますか!?」
「同い年なんてサイコーじゃないっすか!ホントここら辺人居なかったから俺も友達になれたらうれしいっすよ!!!」
「今からそのイルハム君に会えますか??」
「もちろんですとも菌太郎様!坊ちゃまはお庭の方にいらっしゃいます!」
ジムジさんに連れられ俺は初めてイルハムを見かけた庭へ向かった。
イルハム・・・どんなヤツなんだろうな!!!

初めての・・・ -その3-

「ハァ、ハァ・・・」
人がいた・・・引っ越してからだいぶ経つが初めて見た・・・・。
驚いてすぐ家の中に入ってしまったが、なぜあの二人はあんなところで、しかもこっちを見ていたのだろうか・・・。
「坊ちゃま、どうされました?」
「ジムジ・・・庭で本を読んでたら人が・・・こっちを見てたんだ。」
「ご近所の方でしょうか・・・?」
「わからない。でもなんで、こっちを?」
「もしかしたらお友達になろうとしたのかもしれませんよ!」
「そんなわけないだろう!それに・・・友達なんかいらない。」
そう言い放つと、自室の扉をバタンと占めた。

ベットの上に寝転ぶと涙が出てきた。
友達・・・いらないわけないじゃないか・・・。
昔、友達と楽しそうに話している子たちを家の中から見ていたことがあった。
いつか自分にもあんな子ができるだろう。そう信じ学校に顔を出したこともあった。けれど、自分からなかなか声をかけることはできず本の世界に一人逃げ込んでしまった。
後は同じ結末に行き着く。クラスの人から「気持ち悪い」と噂話が聞こえてくる。あぁまたかと思い学校を離れる。この繰り返し。
もう諦めたんだ。俺には友達は作れない。

きっと・・・作れないんだ・・・。
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